自身が所有している財産について、詳細を把握している被相続人は少ないのが現状です。そのため、被相続人が財産の種類や金額を正確に把握し、相続人に分かりやすく整理することで、将来的なトラブルを回避できます。例えば、遺産分割や相続税の計算がスムーズに進み、遺族の負担を軽減できます。しかし、財産把握には時間と労力がかかるため、早めに対策しておくと良いでしょう。

生前に贈与を行うことで、相続財産を減らし、相続税の負担を軽減することができます。贈与のタイミングや受贈者を自由に選べるのもポイントです。贈与には、最大2,500万円までの贈与額が非課税となる特別控除枠が適用できますが、その金額を超える分には贈与税が発生する可能性があります。生前贈与を行う際には、慎重な計画を立てましょう。

遺言書を作成することで、相続人間のトラブルを防止でき、意図したとおりに財産を分割することができます。とくに、遺産の取り分や相続人の指定を明確化できるため、円滑な相続が期待できます。しかし、遺言書に形式的な不備があった場合、その効力が認められないケースもあるため、書き方や保管方法に注意が必要です。

家族信託は、不動産や金銭などの財産を信頼できる家族（受託者）に託し、管理・処分を任せる制度です。収益不動産を運用する場合などに有効で、相続人（受益者）は受託者の管理・運用により財産を受け取ることができます。しかし、家族信託を利用する際は、信託契約の締結、信託口座の開設などの手続きを行わなければなりません。利用する際は専門的な知識が求められるため、弁護士や司法書士に相談しましょう。

後見人制度を活用することで、認知症などで判断能力が低下した際に、財産管理や日常的な支援を選任した後見人が行うことができます。これにより、被後見人の権利を守り、誤った財産処分を防止できるのです。後見人の選任は家族や親族に依頼するケースと司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門家に依頼するケースがあります。なお、選任手続きに時間がかかることや、専門家に依頼する場合の報酬など、時間や金銭の負担も考慮する必要があります。